神話概要 2 (人間の歩み−パトリアエ・マテリアル界−){オリジナル小説 SINFONIA(シンフォニア)の神話概要 その 2 です。}

バナー
Google

WWW を検索 SINFONIAの世界を検索


神話概要 その 2
人間の歩み −パトリアエ・マテリアル界−

  オリジナル小説 シンフォニアの神話です。
  ここでは上位物質界である、パトリアエ・マテリアル界での、人間の歩みを掲載しています。
集落の誕生

  人間の歩みは、その寿命がより長く、歴史もあるパトリアエ・マテリアル(上位物質界)が、はるかに先行した。
 パトリアエ・マテリアル界には、農業の神ティスフォックスが作り出した植物の根源たる世界樹が一本と、その枝から派生した生命の樹が各所にあり、人々はその下に集い樹木がもたらす果実を糧に暮らし、次第に集落を作り始めた

  また、生命の樹などが存在しない地にも人間は存在した。彼らは移動しながら、動物を飼い、また狩り生活するを行う、狩猟民族であった。

巨人との戦い

  狩猟民族達は、勢力を拡大するにつれ、牧草地を求め、巨人の勢力圏にまで達した。
 当然のごとく、巨人達との争いが起きたが、巨人達は強く、人間は苦戦した。

  しかし、神々の気まぐれで、人間達の中には、神々の奇跡を行える者、また、自然の精霊力を操れる者が出現し、次第に巨人達を追いやって行った。

ルーン文字の誕生と農耕の始まり

  神々は、人間に文字を与えた。自らが使うエノク文字ではなく、それを簡素化したルーンである。
 ルーンは神々の奇跡を起こせる者の存在を増やし、体系化させることになった。  ただし、ルーンを理解出来うる者は、ほんの一部であり、精霊力を操れる者と同様、限られた存在にしか過ぎなかった。
 一般民衆はルーンとは異なる文字を持ち、それを生活の道具としていった。

  生命の樹や世界樹の周りで生活していた人間達だが、人口の増加に伴い、それらがもたらす恵みだけでは生活できなくなると、人々は農耕を始め、次第に肥沃な大地を目指して、それらの下から離れていった。

  生命の樹と世界樹は、エルフ達のものとなり、人口の少ない彼らは、その果実を乱獲しなかったため、それらの周りは自然と林になり、そして、森になっていった。

宗教の浸透と文明の萌芽

  サイファがアリアールの道を作り、神々がそこに迷宮を作り上げるまでのわずかな時間に、魔界の生物達は、アリアールの道をとおり、物質界にも住み着いていた。

  一方、狩猟民族も、農耕民族も、徐々に勢力を伸ばすに連れ、それぞれの集落同士が出会い、そして争いが生じた。
 農耕民族は、より肥沃な大地をめぐって、狩猟民族は、広大な牧草地と獲物多き狩猟場をめぐって。

  戦いは勝者と敗者を生み出し、敗者は勝者に奴隷として使われるか、逃亡せざるを得なかった。
 逃亡した敗者の中から、勝者に対する復讐を望む者が現れ、その一部が魔界の生物の誘いに乗り、彼らの力を借りて、いくつかの集落を滅ぼした。
 復讐者は力を貸してくれた魔界の生物への代償として、自らの魂の代わりに、敗者を生贄として差出した。

  人々は魔界の生物の力を借りた復讐者から、自分達を守るために、それぞれの集落で信じる神に祈った。
 神々は、これに応じ、最も信仰厚き人に、神の力の一部を貸し与えた。神々の力を体現できる者の存在が、魔界の生物の力を借りた復讐者の力を上回り、敗れ去った復讐者は、力を借りた代償として、魔界の生物にその魂を奪われた。

  集落は、徐々に人口を増やした。敗者からの復讐を恐れる必要が無くなったこともあり、それは巨大なものになりつつあった。
 神々の力は、魔界の生物の力を借りた者に対してのみ発揮されたため、お互いの戦いでは効力は無かったが、ルーン文字を理解する者や、精霊力を扱える者は、この拘束を受けず、彼らを擁する部族が次第に強大化して行った。

  すると、そういった部族同士が争いになるのは必定で、お互いに神の奇跡と精霊力の強大な力のぶつかり合いで、被害者が続出した。
 神々はこれに憂い、戦いでの神の奇跡と精霊力の使用を禁じた。

  人間は、自らの力と、その叡智によってのみ競うこととなった。
 そして部族は次第に大きくなり、各部族が一つの宗教を信じ、勢力を拡大して行った。

文明の誕生と、神々の争い

  巨大化した部族は、農耕民族にしろ、狩猟民族にしろ新たな器具を作り出し、生活レベルを向上させていった。

  文明の誕生である。
 パトリアエ・マテリアル界には、こうして七つの文明が生じた。

  各文明は、それぞれの信じる宗教を持ち、各文明の勢力拡大は、つまるところ、天界の神々の勢力基盤の拡大にも連なった。
 神々は、自らを信じる文明に肩入れし、自らの代理として、人間達を争わせた。

信教の自由と神々の不干渉

  しかし、人間達に、自らの代理戦争をやらせる行為は、調和の使者たるハディートの考えに反していた。一つの神の力が巨大化することは、結局、調和を乱す原因になる。
 そこでハディートは神々に勧告し、人間界に干渉せず、人間達の信教の自由を認めるように忠告した。
 神々は、自らの役割を思い出し、忠告に従ったため、各文明の中にも、色々な宗教が存在するようになったが、これは同じ文明間での宗教戦争を引き起こすこととなった。

初めての王朝の誕生

  七大文明の一つで、主に農業の神ティスフォックスを信じていたイウロペア文明は、ドーリャ族と、アカイエ族とで構成されていた。彼らの争いの仲介をしたのが、両者が信じていたティスフォックスの神官であり、後に彼らは三者の合議制による大きな部族を構成し、イウロペア文明を繁栄させた。

  イウロペア文明は、次第に勢力を拡大するに連れ、アカイエ族、ドーリャ族との間に婚姻政策による結びつきを深め、三者合意のシステムから、文明の代表者と神官で政を行う両頭政治体制になっていった。
 神官が巨大な権力を持っていたにもかかわらず、文明内には信教の自由が認められていたが、これが文明の崩壊につながった。

  パトリアエ・マテリアル界の西南部に存在したイウロペア文明だが、支配地域にあるセントヘレナ大火山の噴火に伴い大飢饉が発生した。
 農業の神ティスフォックスの神官が、これに対応できなかったことは、農業の神の名を失墜させた。神は人間界に深くかかわることは出来ず、ティスフォックスは何も出来なかった。

  この時、繁殖の神であるベイバロンは、噴火と飢饉による人口の減少で崩れたバランスを取り戻すために、神々の討議で、その力の行使が認められ、これにより人間だけでなく、家畜も増加させたため、人々は、この飢饉から脱出できた。
 このことで、ベイバロン教はティスフォックス教の地位を奪い、両頭の一角は、ティスフォックスの神官ではなく、ベイバロンの神官となった。

  イウロペア文明は、ベイバロン教以外の信教の自由を認めず、他地域を侵略し、ついに、人類史上最初の王国が誕生した。
 イウロペア文明は古代王朝となり、都を領域の南東にあるアクロとし、王には文明の代表者が就き、ベイバロンの神官と協議して政治を行う両頭政治体制は、引き続き残った。

古代王朝の時代

  古代王朝はベイバロン神のみを宗教として認め、ベイバロン教団は隆盛を極め、苛烈な教義を民衆に押し付けた。  それは、奴隷から生贄として神に捧げる若い少年を出させるというもので、生贄として殺された少年の肉を、神の、おすそ分けを食らうことで、神に近づけると信じた教団の首脳達は食し始めた。  時代が下り、王朝中期になると、王族にも、王朝の永遠の栄華を望むのであれば、神と同じものを主食にするべしと言う考えを広め、生贄の人肉を食べるように勧めた。  王族も、神の代行者としての義務であると言われれば、それを為さないわけには行かず、神官達は、それに対し、神の声を伝える伝達者と位置づけた。

  生贄の選択権を持つ教団の力は徐々に強まり、王権をすら凌駕するようになっていた。

エルメキア文明

  パトリアエ・マテリアル界の主たる大陸であったバルハー大陸では、古代王朝と、イウロペア文明以外の六大文明が栄えていた頃、大陸の西にある島々では、別の文明が開化していた。エルメキア文明である。
 この文明はいくつかの島にまたがり、それぞれの島で、それぞれの宗教が存在し、各宗派の司祭が中心となり信者を集め、集落を形成していた。また、各宗派には独自の秘術を持って神の奇跡を行うものが存在していた。
 各島々は、時には争ったが共存しようとする意識の方が強く、大きな騒乱は無く、各宗派がそれぞれの文化を作り出していた。

  徐々に人口が増え、交流も激しくなると、交易で利益を得る商人達が出現し始めた。
 彼らは優れた航海術を持ち、海運と交易を一手に握り、繁栄していった。

  時代が経ち、少しずつ利益を巡って各宗派の中が悪化し始めると、商人達は、戦になるのを避けるべく各宗派の間を取り持ち始めた。
 各宗派の調整役を買って出た商人達のリーダーであった男は、無宗派で、各宗派に多大な寄付をすることで、各宗派からの信頼を勝ち取り、戦を避けることに成功すると、交易で更なる利益を生み出して行った。

  古代王朝が中期にさしかかろうとしていた時期と同じくして、文明に変化が訪れた。
 調整役となっていた商人のリーダーが次第に実権を握り、各宗派の要請もあり、男は王となりエルメキア王朝を創設した。
 王は、各宗派の調整役であることは変わらず、各島々には自治権が認められていた。  しかし、王は各宗派の調整役でありながら、交易による利益は独占できたため、次第に各宗派を支配下に収めるようになって行った。

カイマス・ツィランとエルメキア王朝

  王朝を創設した男の名はカイマス・ツィランと言った。
 前述したように、彼は初期には優秀な調整役であった。しかし、ある者が、この王に野心を植え付けた。

  ツィランは彼自身が優れた商人であるとともに、神の奇跡の行い手でもあった。
 野心を持った彼は、調整役として各島に伝わる秘術を皆で共有することが、島々の栄華に伝わると、各宗派の代表を説得し、それらを全て提供させた。

  彼らは大陸の民族と違い、独自の文字を発達させ、秘術を行う者も、民衆もそれを用いていた。エルメキア文字である。
 ツィランは、このエルメキア文字による神々の奇跡を一つの体系としてまとめ上げ、エルメキア魔術を完成させ、他の海域に浮かぶ島々を次々と侵略していった。
 以降、王は全ての島々を支配し、エルメキア魔術の最高の使い手として存在し続けた。

  ツィランは死期を感じると、自らを不死なる者にすべく、あらゆる術を行ったが失敗し、死後、彼の遺言により、遺体はミイラにされ、王家の墓に埋葬された。

古代王朝末期
−ルーン魔術とハディート−

  古代王朝も末期になると、奴隷から生贄を求めるだけでは足りなくなり、一般民衆の中からも生贄を求めた。
 主に辺境の地の貧民から集められた生贄の数は、次第に多くなっていき、それと共に民衆の不安と反感も増加していった。

  また弾圧され続け、地下に潜って密やかに信仰され続けた各宗派を頼る者も増え、各宗派は協力して、ベイバロン教団に対抗すべく行動に出た。
 各教団は、各派に存在したルーン文字を使い、神の奇跡を行える者と、独自の秘術を集め、新たな魔術体系を作り始めた。これが後にルーン魔術と呼ばれるものになっていくのである。

  クレルモンフェランの地で一人、神により作られし人間の行いを見ていたハディートは、人間達のこの進歩に興味を持ち、自分の持つ調和の力を、聖峰ガンガジュルシュルを制覇した人間に分け与えようと、ガンガジュルシュルの頂上に、全ての叡智は有りと流布した。

  それはハディートが自らの寿命に気付いたためでもあった。
 神を監視し、世界の均衡を保つ役割は、彼と同じく調和と均衡の力を秘めた人間で、かつ、聖峰を制覇するくらいの力ある者でなければならなかった。

  しかし、聖峰を極めるものは、長らく存在し得なかった。

古代王朝末期
−聖峰を極めし者達−

  ハディートがガンガジュルシュルの入り口を開いてから数百年後、ついに、聖峰を極めた者が現れた。
 ベイバロン教団に対抗して、各宗派が結集した秘術であるルーン魔術を極めたその男は、圧倒的な魔力を持って聖峰に潜む怪物や、聖峰に住み着いた魔界の生物、神々が配した幻獣や龍族をも打ち倒し、ハディートの下にやって来た。
 サミュエル・リデル・マクレガー・メイザース。それが彼の名であった。

  次いで、今度は全ての精霊力の力を操れる男が登頂に成功した。サイファの真理を求める精霊神ヴォールの司祭でもあった、ラ・ホール・クイトである。

  さらに、セヴァの司祭で、キングクリムゾンを研究するリガルディーもハディートの元を訪れた。
 ハディートは彼らに調和の力を示し、神々が使うものと同じエノク文字を教えた。

古代王朝末期
−教皇クロウリー−

  古代王朝末期、ベイバロンの教皇として君臨していたアレウスター・クロウリーは、ベイバロン神を降臨させ、王朝の全てを掌握しようと考えた。
 ベイバロン神の降臨に必要とされていたのは、生贄を食し続けた高貴で業深き者達の血の交わりによると信じられていた。

  クロウリーは、当時の王に強要し、神の怒りという文言で脅し、王の長女を生贄として差し出させ、その肉を喰らい、さらに、呪われた子を生んだ王妃を浄化するためと偽り、王妃と交わり、子供を作らせた結果、一人の男子が生まれた。
 この男子は王子として認められ、王と王妃の間に生まれた次女と共に王族として育てられた。

古代王朝末期
−パルテブランの出現−

  ハディートの下に、幾人かの者が集い始めた頃、古代王朝の辺境の地であったカタルヘーナで、一組の双子が生贄として連れ去られた。
 幼い双子は数日後、無残に殺され、内臓は食され、わずかばかりの髪と、歯と骨だけの姿になって辺境の地に戻った。

  両親を早くに失い、年の離れた弟達を育てていた兄は、二人の遺体を見て嘆き悲しむと共に、同じ境遇にあった三人の友人と共に立ち上がった。
 カタルヘーナの民衆もこれに呼応し、彼に付き従った。

  カタルヘーナの町を開放した彼らだが、王朝の正規軍が町に向かっているとの情報を知ると、町の人々の安全も考え、山岳部に避難し、更なる同志を集めるため雌伏した。

  彼こそ、後に、空前絶後の英雄と呼ばれる、パルテブランであった。

  十年の時を経て、各宗派の協力も取り付けたパルテブランは、民間人は山岳部に残し、兵士のみを率いて、古代王朝に戦いを挑んだ。
 無謀とも思えたこの挙兵であったが、彼の叱咤する声を聞いた反乱軍の兵士たちは、疲れを知らぬ戦いぶりと、底知れぬ勇気に取り付かれ、バーサーカのように奮戦し、王朝の軍勢を圧倒した。

  王朝の兵士達は、陣頭で怒号を発し、漆黒の馬にまたがり戦場を駆け抜ける、この男に恐怖した。
 彼は無尽蔵の体力と、強固な意思の力で戦場を駆け巡り、十年も経たぬ間に、辺境の地を王朝より開放し、王朝は、その領域の北半分を失っていた。

古代王朝末期
−スカラゲッグの決戦−

  王朝側も、ついに、切り札とも言うべきベイバロン教団の兵士と、王朝騎士団を戦線に投入すると、反乱軍も苦戦を強いられた。パルテブランの怒号も、熱狂的なベイバロン教団の兵士には効果が無かった。

  このまま膠着状態が続けば、自力に劣る反乱軍は崩壊すると考えた反乱軍の参謀であったパラケルススは、教団に対抗する力を得るため、ガンガジュルシュルに挑み、全ての叡智を手に入れることを決意した。

  聖峰に挑んだパラケルススは、ついに聖峰を極め、ハディートの下を訪れた。
 他の面々とは違い、世界のために叡智を授けて欲しいと願うこの青年に、ハディートは感心し、時間が無い彼のために巨人の王ジクロプスを奴隷として操るためのキーワードを教えた。

  神々から罰として、人間の奴隷となるように定められていたジクロプスだが、彼を必要とする人間は存在せず、また、彼に近づこうとする人間も居なかったため、科せられた罰から解き放たれることは無かった。
 そんな時、彼に科せられた罰を執行すべきものが現れ、彼はそれを受け入れ、パルテブランとパラケルススに従った。

  決戦場となったスカラゲッグに出現した巨人の王の咆哮は、王朝騎士団を恐怖による恐慌状態に陥れ、巨人の咆哮にも臆さないベイバロン教団の兵士には、投石と巨大な足で踏みつける攻撃で粉砕し、ついに王朝軍は崩壊した。

古代王朝滅亡

  ついに都アクラを囲んだパルテブランは、総攻撃を仕掛け、王城を落城させ、ベイバロンの大神殿に攻め入った。
 神殿内は迷路のようになっており、大軍を進めるには向かないため、討伐隊が結成されたが、ことごとく、クロウリーの魔術により潜入を試みた兵士たちは打ち倒された。戦場とは認められない個人や小集団の戦いでの魔術の使用は、神々の許す所であったからだ。

  これに対しパルテブランは、パラケルススと数人のアサシンを送った。
 クロウリーは、彼に匹敵する魔力の持ち主であったパラケルススとの戦いに集中せざるを得なく、その隙に、背後に迫ったアサシンの一撃に倒れた。

  一方、国王は、王妃、王女と王子を連れ、アクロを脱出し、西方にあるブレンナーという町に逃亡した。
 国王としては、実子ではない王子をも連れ出したのには理由があり、この二人の内どちらかこそが、ベイバロンが降臨すべき者と信じ、神がどちらかに降臨して、自分達を救ってくれると信じていたのであった。
 クロウリーを討ったパルテブランは、王族を追い、ブレンナーの町を囲み、捕らえた王と、王妃を惨殺し、王女と王子は幽閉された。

  巨人の王ジクロプスは、科された罰から開放され、自らの棲家であるドゥラル山脈の大聖堂に帰り、ここに、古代王朝は滅亡した。

マグドレーヌとシュール

  古代王朝の王女であったマグドレーヌは、たいそう美しい女で、パルテブランはこの娘を気に入り、即座に犯した。彼女は弟シュールの命を救うため、パルテブランに身を捧げ、パルテブランが要求する残虐な行為にも服従した。

  一方、王子であったシュールはパラケルススに保護された。パラケルススは巨人の王ジクロプスを戦場に借り出した功績で、恩賞は思いのままとパルテブランから言われた時、ためらいも無く、この少年の命と答えた。
 この少年の内に秘める魔力に、興味を持ったのであった。

  パルテブランは、マグドレーヌにのめりこんでいた。これに憂いを感じた三人の友人は、参謀でもあったパラケルススに相談し、パラケルススは密かにマグドレーヌに近づき、薬品をその顔にかけて、顔を焼いた。

  翌日、その顔を見たパルテブランは怒り、マグドレーヌを奴隷の群れに投げ込み、犯させた上で、木に逆さ吊にし、全裸に蜜を塗り、虫に食わせて発狂死させるという残虐な方法で処刑を実行した。マグドレーヌは、苦痛に耐えかね、呪いの言葉を発し、舌を噛み切って死んだ。その死体は八つ裂きにされ、ブレンナーの古井戸に捨てられた。

  パルテブランはさらに、王族の末裔を探し出しては処刑し、一時はパラケルススに預けられていたシュールも、処刑するように命じられた。
 パラケルススはシュールは病死したと偽って、かくまい続けた。そして、シュールの秘めた魔力の力を知るに連れ、古代王朝が進めていたベイバロンの子という考えに興味を持ち、研究に入った。
 そして、研究を進めるうちに、姉であるマグドレーヌの必要性を感じたパラケルススは、禁断の死者再生(アンデッドとして再生する)を試み、古井戸に忍び込んだが、これには失敗した。しかし、この時の儀式が、後世に大きな問題を投げかけることとなる。

  結局、パラケルススはベイバロンの研究の解明は出来ず、シュールは彼の弟子であったトラッディーという男に預けられた。

ベイバロンの司祭
−ダイアン・フォーチュン−

  パルテブランは徹底的にベイバロン教団を迫害し、教団関係者や信徒達は、捕らえられて惨殺されたが、そんな中で、その手を逃れた教団の高司祭の一人が、ガンガジュルシュルに逃げ込み、登頂に成功した。

  ハディートの下を初めて訪れた女性、ダイアン・フォーチュンである。
 彼女もまた、ハディートの弟子となり、ハディートは分け隔てなく、彼女にもエノク文字と調和の力を示した。

パルテブランのバルハー大陸制圧

  古代王朝を滅ぼしたパルテブランは、彼と共に旗揚げした三人の友人のうちの一人、バールカに大陸北部から北東部にまたがるダルマニア文明を持つ狩猟民族、ダルマニア族を攻撃させ、同じくゴートルには南部から南東部にまたがる、いくつかの文明を侵略させた。

  彼自身と、三人の友人の一人ハーンズは、古代王朝の反乱分子の掃討と、内政に力を入れていた。

<<  神話概要 1       神話概要 3  >>