主要キャラクター列伝 2 (ベイバロンの詩編) {オリジナル小説 SINFONIA(シンフォニア)の主要キャラクター列伝 その 2 です。}

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主要キャラクター列伝 その 2
ベイバロンの詩編

  オリジナル小説 シンフォニアの本編とも言える ”ベイバロンの詩”の登場人物の列伝です。

  尚、範疇の項目は、M とあるのが主人公、ないしは、準主人公扱い。S とあるのはサブキャラクターです。また、m は後日、その人物を主人公にした話を、書く可能性がある人物です。


ゴルラジアンとエッケ・ハウト・ウラッシア

  第七十三代剣聖。
 剣聖の権力が失墜し、シンフォニア三聖国の一つ、元のみの君主となったのは初代剣聖パルテブランの死後すぐであったが、彼が剣聖位を継いだ頃には、その元の力も弱体化し、北部には独立国が反旗を翻していた。

  剣聖としての力は何も持たぬ彼であったが、各独立国自体が互いに争っていたこともあり、国家としての元はまだまだ健在であった。

  ゴルラジアンが剣聖であった時代は、他の国々の間でも抗争が続き、シンフォニア界は小国が乱立する戦国時代でもあった。
 彼は決して暗愚とはいえなかったが、名君でもなく、その治世の前半は可も無く不可も無くという感じであった。

  彼には、正妻との間に息子が二人いたが、人々は英邁な、王太子エッケ・ハウト・ウラッシアに多大な期待を寄せていた。
 事実、エッケ・ハウト・ウラッシアが、王太子として全軍の指揮権を掌握すると、独立国の所領に侵攻し、いくつかの地域を取り戻すことに成功した。
 また、王太子は政治家としても優れた所を見せ、苦しい財政状況の建て直しにも取り組み、一応の成功を見せた

  剣聖ゴルラジアンは、政務の一切を息子に任せ、自分は淫蕩にふけり始めたが、国民は、ゴルラジアンにでしゃばられて国政がおかしくなるくらいなら、淫蕩にふけっていてくれる方がましと考え、剣聖の生活について不満は叫ばなかった。

  エッケ・ハウト・ウラッシアは、次々と若手を重臣として登用していき、精力的に政務に取り込んだ。
 数十代前に剣聖を守るべく設立された近衛軍であった六武公が形骸化し、軍部の一派閥になっていたのを改革し、六武公を解散し、新たに六武公は剣聖専属の護衛として、各地より集められた武芸に優れた者達の中から特に優れた六人を選びその地位に就けた。

  衰退化しつつあった魔術学院の再建も行なった彼は、まだ若いが、非常に優れていたワルター・フォン・デア・フォーゲルバイデという青年を魔術学院の学長に任命し、各種研究を進めるよう命じた。

  内政面では六武公の一人でもあったクルツ・フォーゲルゲザンクを宰相に抜擢し、その配下にはこれまた若いマッティー・サルミネンを配し、国政全般を統括させた。
 こうして、ゴルラジアン治世の中期には、王太子エッケ・ハウト・ウラッシアの努力もあり、元の後世は安定し、対外的にも奪われた領地のいくつかを取り戻すに至っていた。

  政務に就かぬ間に淫蕩にふけっていた剣聖は、特定の女にではなく、色々な女に手を出していたため、身篭ってしまった女にも愛情を示さず、金を与える位で済ませていた。
 次代の剣聖は、王太子エッケ・ハウト・ウラッシアが継ぐものと王も決めていた。

  しかし、王はそれまでフローディア教団の修道院で過ごしていた、いとこに当るユーリという少女を見て一目ぼれし、彼女を還俗させ、側室にしてしまった。  このいとこを寵愛したゴルラジアンは、ついに、この娘との間に、一人の男子を設けてしまった。
 ゴルラジアンは、溺愛するユーリから生まれたこの男子を、永劫を意味するアイオンと名づけ、あろうことか、王太子にしてしまった。
 エッケ・ハウト・ウラッシアも王太子として留めたため、重臣たちは混乱した。
 ゴルラジアンは、剣聖の証である二対の武具のうち、一対をエッケ・ハウト・ウラッシアに、もう一対をアイオンに授けると発表した。

  この事態は即ち、元の分裂を意味すると危惧した重臣達は、エッケ・ハウト・ウラッシアと謀り、エッケ・ハウト・ウラッシアは父を脅し、弟の処断を求めようと、武装兵と共に王の間に乱入した。

  その中で何が起こったかは謎であったが、この事件の後、ゴルラジアンの病死が発表され、エッケ・ハウト・ウラッシアが第七十四代剣聖として就任したことが発表され、国民は安堵した。

  剣聖となったエッケ・ハウト・ウラッシアは、ゴルラジアンが寵愛したユーリと、その息子の行方を捜したが、母子は見つからず、それどころか、剣聖の証である武具の内のいくつかも行方がわからなかった。

ユーリとアリアールの大迷宮

  ゴルラジアンは、自らがユーリとの間に出来たアイオンを王太子とした後の重臣達の反感を知り、母子の身の危険を感じ、いざとなった時は母子を逃がすことを考えた。
 ゴルラジアンは、母子を逃がすにあたり、シンフォニア界では、その子が継ぐべき地が無いことを知っていた。ゴルラジアンは、かつてパルテブランが征服し、立ち去ったと言われる下界の伝説を信じ、その地であれば、息子が受け継ぐ地があると考えた。
 伝説を信じた彼は、息子がアリアールの大迷宮を抜けるのに必要な剣聖の証である武具のいくつかを持たせた。そして、信頼できる部下に、アリアールまで母子を運ぶ方法を探させた。

  部下達は、ある偉大な魔術師の存在を探し当て、ゴルラジアンに紹介した。
 その魔術師は、その強大な魔力で空に浮かぶ移動式の空中都市すら所持しているといわれ、ゴルラジアンは、いくつかの宝と引き換えに母子の輸送を頼んだのであった。
 そして、ゴルラジアンは、いよいよ母子の命が危ないと知った時、魔術師に二人を託した。

  魔術師は約束どおり母子をアリアールの大迷宮まで運んだ。
 ユーリはゴルラジアンの言葉どおり迷宮の入り口に、剣聖の証の武具を示しアリアールの大迷宮に入っていった。

  ユーリは、いずれ我が子がシンフォニア界に戻って来れる様、門を解く鍵であったニーベルングの指輪を息子に持たせ、迷宮内を進んでいったが、その後の彼女と、赤子であった息子の行方が知られることは無かった。

ゴーティーンとホーディン

  ゴーティーンは、かつてパルテブランがアドール大陸の都とした都市近郊で生まれた。
 パルテブラン時代の都市は地中に沈んでいたが、地殻変動後もこの地域は肥沃な大地と恵まれた水源を持ち繁栄するに足る資質を持ち合わせていた。

  ゴーティーンは、父ウーティーンから小さな都市国家を引き継ぐと、都市規模を拡大し、キャメロットと名付けた。彼はそこを中心に、周辺を攻略しアドール大陸中原に覇を唱えた。

  彼は幸運にも、キャメロット地下に貯蔵施設を建設中に、古代都市の遺跡を発見した。
 古代都市の遺跡はその上部のみしか発掘できなかったが、それでも、見たことも無い美術品や宝石が発見され、これを財源にし強兵に努めた。

  ゴーティーンは西方のメザー教団や東方の都市国家と争ったが、北より巨人族が侵攻してくると、この両国と同盟を結びこれと対峙し、打ち破った。

  その後も、これら異種族のものとの戦いを想定して三国は同盟を強め、メザー教団については国教とすることで、東方の都市国家には自治権を与えることで懐柔し、ついにこれらをまとめた国家を成立させた。

  顛(テン)と呼ばれたこの国家は、大陸北方の巨人族、ニーベルング族をも支配下に収めるに至った。この時、ゴーティーンは皇帝となり、アドール統一を目指し大陸最大の大河、大江を渡り大陸南部への侵攻を決めたが、これにはかなりの反対があった。

  反対を振り切り南征に打って出たゴーティーンは、最初のうちは勝ち続けたが、敵の焦土戦術に遭い、戦端が伸びきった所を峡谷に誘い込まれ、戦死した。

  ゴーティーンの死後、息子ホーディンが皇帝となると、父の復讐戦を挑むべく、万全の準備をし南征に赴き、今度は大陸南部の都市国家を滅ぼし凱旋した。
 しかし、有頂天になったホーディンは、今度はアルカナ大陸に侵攻し、父と同じように敵の焦土戦術に敗れ、大敗を喫した。

  この大敗は財政危機を引き起こし、それを立て直すため、巨人族やニーベルング族への税率を上げたため彼らの反感を買い、さらに自治を認めていた都市へも何らかの形で負担を強いたため、キャメロッ近郊で開かれた宴席上で暗殺され、顛は事実上滅亡した。

  プライム・マテリアル界のアドール大陸出身。
 彼の父は剣闘士として名を馳せた男で、剣闘の興業主でもあった。彼自身も優れた剣闘士で、父の死後はその後を継いだ。
 しかし、経営を担当していた母が死ぬと、彼はその興行権を売り渡し幼い弟をつれて、何人かの剣闘士と共に傭兵となり、各地を転戦した。

  アドール大陸中部で栄えた顛に雇われた彼は、目覚しい活躍で財を成すと、今度は傭兵団を護衛として隊商を組み交易商を営んだ。

  交易でも大きな財を成した獏は、かつて傭兵として雇われていた顛の皇帝ゴーティーンに請われて傘下に入ると、将軍としても参謀としても活躍し、顛がアドールを征服すると、かつてパルテブランに地上の楽園と称されたことのあるアルカディア半島の太守に納まった。

  その後、顛の二代皇帝ホーディンが暗殺されると、アドール内部での反乱が相次いだが、反乱分子同士が、また、各勢力内での分裂もあり、彼が直接統治していた半島北東部の治安は守られた。

  彼は、ある時、森の中で捨て子を拾い、子供がいなかった彼は、その捨て子を後継者として育てた。その子供こそ、未来の聖杯王となる、シンムゲンであった。

ゴートゥンとウォータン

  アドール大陸の中原の東部に栄えた独立都市国家を支配していたゴートゥンは、近郊の豪族達と長らく争ったが、キャメロット近郊を支配下に収めたゴーティーンと戦端が開かれると、豪族達と和平氏これに対抗した。

  鉄の産地を支配下に持っていたゴートゥンは、重装歩兵隊を組織し幾度と無くゴーティーンに苦杯を舐めさせた。

  その後、大陸北部より巨人族の侵略が始まると、ゴーティーンに懐柔されその傘下に入った彼は大将軍として活躍した。

  ゴーティーンが顛の皇帝となり南征に赴くと、その先鋒を勤めるが、敵の焦土戦術にハマり食糧難に陥ると、全軍の食料を確保すべく各地を転戦し、その結果、ゴーティーンが今日国内で戦死した時も被害にあわず、全軍をまとめて帰還した。

  二代皇帝ホーディーンによる再度の南征でも先鋒として活躍したが、ホーディーンのアルカナ大陸遠征には従わず、その後、その敗戦による財政難対策として要求された鉄の供出などをめぐり不満を感じたゴートゥンは、誘われるがままホーディン暗殺に加わった。
 事実上、顛が滅亡すると、自ら王位に就き、国号を覇としたが、その数年後、病死した。

  ゴートゥンの後を継いだのは息子ウォータンだった。
 彼は、それまで、貴族、市民でも奴隷を所持することが可能だったが、それを改革し、奴隷の所持は貴族に限るとした。
 解放した奴隷の中で、優秀な者は市民とすることで人材の確保に成功した。
 奴隷を失い、労働力を無くした大地主には、今までの奴隷を労働者として雇い、給料を支払うよう命じたため、大地主達の反感を買い、国政は混乱したが、その分、彼らの税率を下げることで何とかこれを治めた。

  また、都市部の市民には税率を下げる代わりに国防に就くことを義務付け、父の代より伝統の重装歩兵を強化することに成功し、後に、アドール最強と言われた市民重装歩兵団に成長して行く。

  その後の彼については、ベイバロン詩の本編で詳しく取り上げることになる。

パルガテン

  アドール西方には、メザー教団の影響が強く、教皇を中心とした宗教都市が点在したが、彼は教団の中では最強の武装兵団と言われた、西方聖堂騎士団の団長であった。
 重装備の騎士団でもあったこの騎士団は、ゴーティーンとも幾度か戦い、恐れさせたが、後に、そのゴーティーンが国教としてメザー教を信仰する事を誓ったため、支配下に入った。

  しかし、二代皇帝ホーディンが暗殺されると、再び独立し、宗教国家となったが、僧侶と騎士団の対立が起き、国内はぶんれる状態に入った。
 パルガテンはこの時、騎士団を率いて僧侶派を一掃し、国王に就き、国号を蓁(シン)とした。
 教皇は、お飾りとなり、そのうち、メザー教団では教皇の上に位置する伝説の聖杯王に就くべく聖杯を探させた。

  彼は友人でもあった漠の息子を預かり、自分の息子と共に西方聖堂騎士団に所属させ、互いに競わせ、二人は後に、騎士団の副団長にまで昇進する。

  その後の彼についても、ベイバロン詩の本編に、その内容は譲るものとする。

アルベリヒとその一族

  ニーベルング族の族長、エルリッヒの息子。
 エルリッヒは人間の集落を襲い、これを支配下に収めたが、その度に人間の女を犯し、アルベリヒの母は、そんな人間であった。
 しかし、エルリッヒには他に子供が無く、アルベリヒ自身の能力の高さもあって彼を跡継ぎに指名した。

  人間の血を多く引くアルベリヒは、他のニーベルングとは違い身体も大きく、人間と遜色ないどころか人間でも長身になる方であった。  彼はニーベルング族よりも人間の方を重用し、自分の勢力を拡大した。

  ところが後年、エルリッヒは同じニーベルング族の女との間に一人の男子を設け、これを世継ぎにする動きがあったため、アルベリヒは密かに父を暗殺し、族長に就き、弟の母をも殺したが、幼い弟は殺さなかった。弟まで殺すとニーベルング族の反感を買うことが明らかであったからだ。
 彼は最も信頼していたシヴァと言う将軍に各地の攻略を任せ、政治面ではオクラル、グントルといった人間を重用した。

  その後、ゴーティーンらと争ったが、ゴーティーンがメザー教団と、ゴートゥンらを傘下に治め北征を開始すると、すぐに和平の使者を送り、その傘下に加わった。  彼らの支配地域は、金などの希少金属を産出し、また冶金に優れていた彼らだけあって、この貴金属が彼らの生命線であった。
 特にこれらを産する北海には、各地攻略を終えたシヴァを太守として任命し、貴金属の生産工場に勤めた

  アルベリヒは人間の女との間にハーゲンという息子を設けていたが、ゴーティーンの一族を妻に迎えるに当り、ハーゲンの母をオクラルに下賜した。

  第二代皇帝ホーディンが、北征の失敗により財政難になり、彼らの税率を上げると、反感を覚えたアルベリヒは、同じく反感を持っていた巨人族とゴートゥンを引き込みホーディンを暗殺し、独立して飢という国を興し王位に就いた。

  こうなると、ゴーティーンから下賜された正妻は不要になり、子供もいなかったので離縁したため、ハーゲンは妾腹ながら王太子扱いとなった。

  オクラルに嫁いだハーゲンの母は、オクラルとの間に男子を設けたが、オクラルはハーゲンが王太子扱いであることを十分承知しており、自分の子をハーゲンの従者として育てることを決意し、小ハーゲンを意味するハゲネと名付けた。ハーゲンはこの弟をかわいがり、二人は兄弟のように育った。
 ハーゲンは非常に思慮深く、才気にも溢れており、成長するとハゲネと、オクラルの一族に連なるオルトウィンと共に、シヴァの下で学び、その資質を開花させていった。

  一方、アルベリヒの弟に当るミーメもまた、優れた人物で、良く兄を助け、特に政務を取らせれば一流であったので、アルベリヒは弟を宰相にし、数少ない農耕地帯であった飢南の太守とした。

ファーゾルトとファーフナー

  巨人族の族長であったファーゾルトとその弟ファーフナーは、人間たちを支配下に収めると、優れた人間は登用し、特に政治面では彼らに頼りきっていた。
 彼らの支配地域である爆城、堤位城は、アドール一の穀倉地帯で、豊富な食料が彼らの生命線であり、その運用は支配下に納まった人間に委ねられたため、私服を肥やすもの達が多数存在した。
 内政を人間に任せた彼らは陣頭に立ち、勢力を拡大していったが、ゴーティーンが中原をまとめ上げ彼らに対抗すると、いくつかの戦いに敗れ、結局その支配下に入らざるを得なくなった。

  顛の南征には同行しなかったが、その間、各地の城の建築に一族を貸し出し資金を稼いだ。
 二代皇帝ホーディーンの北征には参加したものの、敵の焦土戦術の前に敗れ去り多大な被害を出した。
 ホーディーンがこの敗戦での財政危機を乗り切るため、彼らへ税負担を強いると、アルベリヒの策に乗りホーディンを暗殺し、兄弟は爆と言う国を作り、ファーゾルトが王位に就いた。

成王都の長老達

  成王都はキャメロット南方の都市で、肥沃な大地に恵まれた穀倉地帯であった。
 この都市は、そのすぐ近くにある成民と並んで指導者は有力者による合議制で運営され、いち早く顛の支配下に入ると自治を認められ、顛の事実上滅亡後も、何事もなかったかの様に自治を続け、近隣諸国と和平を結び繁栄していった。

  これらの地域の合議制は長老会議と言われ、彼らは私服を肥やし、貧民や奴隷を酷使して搾取していた。
 それぞれの長老は、私兵を雇い、それらを集めて自警団を結成し国防に当っていたため、結束力は無かったが、彼らの巧みな外交戦略のおかげで外敵は無く、それなりに安定していた。

王狼と南方都市国家

  アドール大陸位置の大河、大江の南方には遊牧民と農耕民族が共存していたが、これらを纏め上げたのが遊牧民出身の王狼という男で、彼は遊牧民を幾つかの都市国家に定着させ、旺と名乗る国家を創り上げていた。

  しかし、ゴーティーンがアドール北部を統一し、侵略してくると、戦力的に勝負にならないと考えた彼は焦土戦術出てきを苦しめ、部下たちの進言でゴーティーンを峡谷に誘い出しこれを戦死させ、一時期は難から逃れた。

  しかし、ゴーティーンの後を継いだホーディンが、準備万端で攻め込んでくると勝ち目なしと判断し、一族の者を遊牧民時代の辺境に逃がし、自らは王都建帝に篭り、戦死した。

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